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これは日々の作業を通して学んだことや毎日の生活で気づいたことをを記録しておく備忘録である。

HTML ファイル生成日時: 2025/10/08 09:03:58.657 (台灣標準時)

台灣の高校と大学での語学の科目について

語言中心 (Language Center) で、日本語の講義を開講しているでござる。も うかれこれ十年になるでござる。なぜゆえ、語学の講義を開講することにした のかというと、天文研究所の学生数が少ないからでござる。教員には、講義を 開講するノルマがあって、毎年、規定の時間数を満たす講義を開講せねばなら ないでござる。ところが、問題があるでござる。天文研究所は大学院だけの組 織で、学部生がいないでござる。修士課程の大学院生は毎年数人しかいないで ござる。すると、教員が数多くの講義を開講しても、必修科目以外の講義につ いては、場合によっては一人も学生が履修しない、というものが出てしまうこ とがあるでござる。課程修了に必要なギリギリの単位しか履修しない学生がほ とんどだからでござる。よって、教員の講義開講のノルマを達成するためには、 物理系 (物理学科) で学部生向けの天文の講義を開講したり、学部生向けの通 識課 (一般教養科目) を開講する必要が出てくるでござる。いつぞや、研究所 の会議の場で、とある教員から「おぬし、日本語で天文学を教える講義を開講 すればよいではござらぬか。」と言われたでござる。それで、語言中心に、 「日本語で天文学を教える講義」を提案することになり、実際に提案してみた でござる。すると、その新しい講義の提案は却下されたでござる。却下された 理由は、「語言中心は言語を教えるところであって、天文学を教えるところで はないでござる。」というものでござった。言われてみれば最もな理由でござっ た。会議でそのことを報告すると、今度は、「では、天文学を題材として日本 語を教える、という内容にすればよいではござらぬか。」という意見が出たで ござる。というわけで、次の学期に、再び、新しい講義を開講する提案を行っ たでござる。念の為に、天文学に限らず、科学一般を題材に日本語を教える、 という内容にしたところ、今度は採択されたでござる。「ニュートン」などの 科学雑誌の記事を使って講義をしているでござる。

以前は、毎週、一つの記事を配布し、それを読み上げて、学生に聴いてもらい、 その後に内容について議論するということをしていたでござる。だいたい、毎 学期、一人くらいは積極的に話しをする学生がいて、その学生とあれこれ話し 合っているのを、他の学生が聴いている、ということになる場合が多かったで ござる。あまり時間をかけて準備しなくても、講義が成立していたでござる。

ところが、最近は、状況が全く違ってしまったでござる。講義中に教室で積極 的に発言する学生がいなくなってしまったでござる。当然、以前の方法では講 義が成立しなくなったので、新しい方法を考えねばならなくなったでござる。 それで試してみたのは、講義で取り上げた記事の中にある言葉について重要そ うなものを選び、その言葉を使って学生に作文をしてもらう問題を作り、教室 で学生に挑戦してもらう、というものでござった。また、去年あたりから、記 事をまずは学生に見せずに、その記事を読み上げ、学生に聴いてもらい、聴い てわかったことを書いて提出してもらう、という聞き取りの練習も行っている でござる。

この指定の言葉を使った作文練習についてなのでござるが、学生によって、ほ とんどできない人がいるでござる。「どんな内容でもよいのでござるから、何 か書いてみるように。」と言ってもできない学生がいるでござる。ずっと疑問 に思っていたので、今日の午後の講義の際に学生に聞いてみたでござる。する と、以下のことがわかったでござる。

どうやら、まっさらな状態から、どんな内容について書くか自分で考え、そし て、実際に作文をしてみる、ということをほとんどしたことがない学生が多い ようでござる。

また、関連して思ったのでござるが、高校の授業ですることは、大学入試に関 係のあることだけ、というのでは、学ぶことが楽しいと思うことが少ないので はないかと心配になったでござる。

以前に聞いたことがあるのでござるが、小中学校でも、学校が遠足や社会科見 学のようなことをしようとすると、台灣では、保護者らが「そんなことはしな くてよいから、学力の向上に直接関係のあることだけをすればよいでござる。」 と言って、やめさせるそうでござる。

小学校、中学校、高校のときの時間を、ただひたすら大学入試のために使って、 楽しいのでござろうか。また、それが学ぶということについてのよい選択なの でござろうか。



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